仏・パリの総合的アートセンター「ポンピドゥー・センター」が来年創立40周年を迎えるそうです。
その記念の一環でしょうか、東京都美術館で「ポンピドゥー・センター・傑作展」を開催とのことなので、この機を逃す手は無いです。
近現代アートを語る上でとても重要な「ポンピドゥー」の年代別・傑作約70点が観れるこの上ない企画展です。
サブタイトルにあるように「ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで」とあれば尚の事です。
行ってきました、観てきました。
東京都美術館では、「ポンピドゥー・センター・傑作展」の前の企画展で生誕300年記念「若冲展」(2016年04月22日-05月24日)が話題になり、平日でも大行列になった…という話を聞いていました。
「若冲フィーバー」の直後でもあり、まさか「ポンピドゥー」も激混み?になったら困るなぁと思いましたが、杞憂でした。
開館直後のこともあり、スイスイとスムーズに進めました、ホッ。
1906年から1977年の各一年毎に一作家一作品、絵画・彫刻・写真・映画・オブジェ等々約70点を順路通りに観ていきます、歴史をなぞるような気持ちで。
近代~現代へ移りゆく歴史の背景、仏・パリの文化活動や価値観、ヨーロッパの人々の心理などが力強く表現された作品のオンパレードです。
1900年初頭、科学技術の進歩により工業製品の多様化が進み、人々は物質面で非常に豊かになります。
それに伴いアートとしての表現方法や利用可能なモノが急激に増えたのが分かります。
その一方で、多くの社会的問題が発生し、内面的には不安は増大していった…のかもしれません。
やがて起きた世界大戦は作品にも大きな影響を及ぼします。
特に2つ目の世界大戦の期間にあたる作品はメッセージ性が極めて重いです。
また不幸にも時の為政者から疎まれてしまったアーティストの作品もあります。
そして1945年、大戦は終了します。
戦後、平和期に入り、人々の生活はさらに豊かにそして便利になります、加速度的に。
人々はそのスピードを楽しみながらも、溢れるほどのモノを消化し切れず、戸惑ってもいます。
価値観が多様化し、アートはまさに爛熟期に入った感もあります。
アートを通じて人々の共感を広めようすると試みは今現在も留まることは決して無いのです…。
いずれの作品も個性に溢れ、多くのインスピレーションを受けました。
その中で、シンプルながらもハッと気づきがあった作品がありました。
マルセル・デュシャン「自転車の車輪」(1913年)です。
思わず、オッ!と小声になってしまいました。
その手があったか!と。
以前読んだ本の内容を懐い出したからです。
アイデアのつくり方 単行本 – ジェームス W.ヤング (著)
・Q:人はどのようにしてアイデアを手に入れらるのか?
・A1:アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
・A2:新しい組み合わせを作り出す才能は事物の関連性を見つけ出す才能に依存する
というアッサリながらも含蓄深い内容の本でしたが、著者が1939年に大学院の講義で紹介されたとのことなので、もしかしたら「自転車の車輪」を見て何かを感じ取ったのか?と思う位のツナガリを連想してしまいました。
現代アートの巨匠の表現したかったことはスケールがもっと大きかったのかも知れませんが。
デュシャン NBS-J (タッシェン・ニューベーシック・アート・シリーズ) ジャニス・ミンク (著)
さて多くの刺激をもらった「ポンピドゥー・センター・傑作展」、予定を超えて3時間半という非常に有意義な時間を過ごせました。
色々な考え方や主張を多種多様な表現方法で人々に伝える…という脳を自由にする時間を確保しようと改めて思いました。
クリスト&ジャンヌ=クロード夫妻「パッケージ」(1961年)の中に何が入っているのか?開けてみたくなったのは私だけでしょうか?
A.P.J. ポスター額装(現代アート) クリスト パッケージ1962 A2553 グラーノフレームオフホワイト アートプリントジャパン