英国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まった2016/06/24から早2週間が経ちました。
決定と同時に金融市場の大激震が走った後、少し落ち着きを取り戻しつつあります。
英国はEUから離脱することで一部失っていた国家主権を再び取り戻すことになるでしょう。
離脱派の目論見である「英国ナショナリズム運動」は、目先としては達成されました。
EU > 英国(連合王国) > イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランド
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英国(連合王国) > イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランド
かつてイングランドを中心とした英国は世界の地域・国々を「足し算」することで拡大し、産業革命を背景に「掛け算」的な飛躍を遂げました。
しかし、やがて起こった各地域の独立で「引き算」が始まり、20世紀前半の二度の世界大戦を経て加速度的な「割り算」が進行しました。
20世紀後半(1973年)に英国自らEUに「足し算」をさせて大英帝国の対面を繕おうと試みました。
ところが、21世紀初頭の2016年、自ら更なる「引き算」をしてしまいました。
覇権国家であった「過去の成功体験」が新たな挑戦心を邪魔したのでしょうか(本質的な理由は別あると思いますが)。
歴学者はこの離脱決定を後の将来に何と表現するのか?今から興味深いですが…。
さて、現実的な準備のための動きや反動が其処彼処で取り沙汰されています。
そのうちで次に起こりそうな国家規模の大変動の筆頭と言えば、「スコットランド独立問題」です。
スコットランドでは2014年に英国(連合王国)からの是非を問う住民投票票が行われて、結果は否決でしたはありましたが、その行方を世界中が注目していたのは記憶に新しいです。
それが今回のEU離脱決定後に再び独立機運が盛り返してきた!との報道がありました。
もう一度独立を問う住民投票を実施すれば、今度は本当に独立する可能性が高まっている…ということです。
そして、EUへの復帰(新加盟?)を目指すことになるんでしょうか。
EU > 英国(連合王国) > イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランド
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英国(連合王国) > イングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランド
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EU > スコットランド?
英国離脱派は、自らナショナリズム運動のトリガーを引いてしまいました。
一度火が着いた地域ナショナリズムは簡単には収まることはないと思います。
英国ナショナリズム運動
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EU離脱 = イングランド・ナショナリズム運動
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スコットランド・ナショナリズム運動
もしスコットランド独立が決定したら、イングランドを中心とした英国は最終局面を迎えることになるのは必至です。
いずれは北アイルランドやウェールズでも英国から離反する可能性も高まるでしょう。
この二週間の動きを眺めながら、思い出した映画があります。
スコットランド人の愛国心に火をつけたと評される名作です。
13世紀末、スコットランドの独立のために戦った実在の人物ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた歴史映画「ブレイブハート」(メル・ギブソン主演・監督・1995年公開)です。
アカデミー賞5部門(作品賞、音響効果賞、メイクアップ賞、監督賞、撮影賞)で受賞した大ヒット作です。
20年前ぶりに改めて観直すと気付くことが沢山ありました。
メル・ギブソンの老け顔(当時40歳)は多少異和感があることを差し引いても映画全体としての出来は素晴らしかったです。
史実とは明らかに違う点は、ストーリーの流れを円滑に運ぶためのエンタメ脚色として楽しめば、OKオーライでした。
第一級のスゴい超大作だったんだなぁ…感動しました。
自分も昔よりやや細かく考えてしまう傾向がありますが、製作側の意図もよく理解できたつもりです。
・勇者の誕生
・血統と歴史
・戦略と戦術
・用兵と武器
・勝者と敗者
・征服と統治
・愛国と売国
などなど現代にも通じる対称軸や因果関係が大小含めて多数含まれていて、歴史的な背景や脚本のプロット作りが絶妙かつ巧妙です。
イングランド王・エドワード1世の台詞にある権謀術数の数々は、その後英国が世界覇権を握った政治力の原点になったように思えました。
大英帝国が似た様な手法で植民地拡大を推進していたので、「参考事例」の一端であったのは間違いありません。
その意味でもとても興味深く楽しめました。
昔映画館で観た思い出と合わせて楽しめますよ。