さて本題、古代ギリシア展です。

東京博物館の左手奥にある「平成館」が会場です。

古代ギリシア展

古代ギリシア文明の黎明期からローマ時代までの貴重な品々が年代別に展示されています。

レリーフなど大きな彫刻、石器、貴金属、銅器など膨大な点数です。

エーゲ海、地中海の島々に栄えた文明の諸伝説にまつわる発掘現場のパネルもあり、シュリーマンの偉業を称えるコーナーもありました。

古代オリンピックのブースには大きなスペースが割かれ、勝者の記念品や再現ビデオの上映もあり、現代オリンピックへ通じる起源が分かりました。

ポリスの時代を経て、アレキサンダー大王が大活躍するヘレニズム期で古代ギリシア文明は大きな一区切りを付けましたが、東洋文明の影響も感じられる品々もありました。

 

ドレスをまとった女神の彫像を見た時に何故かあの歌を思い出しました。

山下達郎:SPARKLE の歌詞です。

♪ 七つの海から集まってくる ♪ 女神達のドレスに触れた途端に ♪ 拡がる世界は不思議な輝きを ♪ 放ちながら心へと忍びこむ ♪

本物の女神のドレスを目の当たりにして、SPARKLEが頭の中で鳴り響いていました。

作詞:吉田美奈子さんはもしかしたらこれらの彫像をみてヒントを得たのかも?と思いましたが。

 

歴史の重さがズッシリの古代ギリシア展を見て、その奥深さと神秘性を改めて認識しました。

多くの西洋画のモチーフになっているギリシア神話の神々、英雄などの理解を深めるきっかけになる特別展になりました。

早速、帰宅後に映画を見直すことにしました。

 

先ずは有力ポリス・スパルタとペルシア帝国の死闘を描いた作品です。

300<スリー ハンドレッド> (字幕版) 2007

全編CGで圧巻の戦闘シーンが話題になった作品ですが、「古代ギリシア展」の後には以前とは違った印象になりました。

また公開された2007年(制作:2005-06)当時の世相も考えるとどうしても“当時らしい”作品だったんだと。

ギリシアは欧州文化の起源であり、西洋と東洋の接点=最前線です。

スパルタ・西洋(=白人)vs ペルシア・東洋(≠白人)の構図は、どうしても分かり易いので作り易かったのでしょう。

東洋と戦う白人がカッコイイというストーリーはどうしてもハリウッド的には受け入れ易いです。

 

そして、ヘレニズム時代の大英雄・マケドニア王アレクサンドロス3世(アレクサンダー大王)の生涯を描いた歴史映画です。

アレキサンダー プレミアム・エディション [DVD]
コリン・ファレル (出演), アンジェリーナ・ジョリー (出演), オリバー・ストーン (監督, 脚本) 形式: DVD

アレキサンダー大王の東方遠征が中心に描かれていますが、ギリシア人が何処まで東洋と戦うのか?を問いかける物語です。

立場からの目線では、アレキサンダー大王としては、前進している間は問題を忘れられる、止まると問題になる、だから進まざるを得ないというジレンマに陥っていきます。

配下の人間としては、まだ進むのか?もう沢山だ!帰りたい!でも一緒に進まざるをえない…という追い込まれているような心理になっていく…。

現代のビジネスシーンで例えれば、急拡大し続けるベンチャー会社に置き換えてみると分かり易いと思いました。

天才創業者のワンマン経営で快進撃の盛り上がりや停滞時の問題噴出など、組織の限界を問題も巧く描いています。

歴史映画の中に現代に通じるテーマを展開するあたりは、定石ながらも監督の腕の見せ所でもあります。

約3時間の超大作でもあり、もし自分がアレキサンダー配下の一員であれば、どこまでついていけるのか?戦い続けられるか?を考えさせられました。