2016/10/11、フィリピン・ドゥテルテ大統領が10/25~10/27に公賓として来日すると発表されました。

天皇陛下が会見され、安倍晋三首相との会談が予定されているとのことです。

 

米国・オバマ大統領への暴言発言が世界中で話題になったドゥテルテ大統領ですが、その勢いは国内に留まらず外交も積極的です。

多少クチの悪いマスメディアからは“暴言”大統領がやって来るゾ!と書かれています。

しかしドゥテルテ大統領は不明な点が多いので、この来日はその実像を知る良い機会になりそうです。

 

安倍首相は対中国戦略を考える上で、フィリピンとの連携を最重視しています。

海洋安全保障分野における両国間の協力関係については極めて良好です。

海上自衛隊練習機(TC-90)の移転、40m級巡視艇10隻の1隻目がフィリピンに到着済,大型巡視船2隻について円借款供与を決定などなど実質的な同盟関係強化の動きを強めています。

今回の訪日はその謝礼とも言えます。

 

フィリピンも中国との緊張関係に直面している中、日本から協力を引き出すことに成功したかたちです。

その一方、ドゥテルテ大統領は近々中国への訪問も予定している模様で、中国からも多くの譲歩を引き出すかも知れません。

加えて、ロシアへの訪問を希望していることを匂わせて、冷めた米国との関係をさらに神経質なものにする可能性も感じます。

 

ドゥテルテ大統領の抜け目ない外交のバランス感覚は大統領ルーキーイヤーとは思えない程です。

その活発な行動力を米国側は過小評価して、リスペクトを著しく欠いていたかもしれません。

ドゥテルテ大統領がオバマ大統領に激怒した背景にあったのは、両国のお互いに対するイメージギャップだと思います。

米国は実質的には世界の警察官としての立場を自ら降りているのにも関わらず、同盟国にはかつてのように横柄な態度で対応した。

しかし、フィリピンは米国をかつてのように特別な存在として認めていないということでしょうか…。

 

現在、フィリピンは順調な経済成長を足掛かりにして国際的な地位を向上させるために文字通り大鉈を振るっているということが分かってきました。

ドゥテルテ大統領は今後も目が離せない特異な存在であり続けるでしょう。

天皇陛下との会見では呉々も穏やかな話だけにして欲しいです…。