夏頃、Amazon・本・綜合の売れ筋ランキングで上位に入っていましたが、ウィッシュリストでそのままになっていました。

読書の秋、ようやく話題の本を読みました。

国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動 (文春新書) 新書 – 2016/7/21
伊藤 祐靖 (著)

「国のために死ねるか…」の内容は、今年最大級の衝撃でした。

著者・伊藤祐靖氏とJ-wave「JAM THE WORLD」でナビゲーター・青木理氏との対談を聴いた時、これは凄そうな方、本の内容も気になっていました。

もっと早く読むべきだったと少し後悔するほどでした。

 

著者・伊藤祐靖氏は元・海上自衛官、1999年に発生した能登沖不審船事件をきっかけに創設された自衛隊初めての特殊部隊「特別警備隊」の先任小隊長を務め、約8年間部隊を率い、その後2等海佐で退官されました。

まさに海上自衛隊のエリート特殊部隊の創設者、猛者中の猛者です。

その職業意識は余りに崇高、そして純粋に死と向かい合う勇気を持つリアリストです。

実際に国を守る・護ることの本質とは何か?と問い続けた著者の半生を自伝したような内容に驚きの連続です。

●目次

  • はじめに―戦う者の問いと願い
  • 第一章 海上警備行動発令
  • 第二章 特殊部隊創設
  • 第三章 戦いの本質
  • 第四章 この国のかたち
  • おわりに―あの事故のこと

第一章 海上警備行動発令、この章だけでもノンフィクション1冊を楽勝で書けてしまう程の緊迫感があります。

日本国として、様々なパターンの非常事態に対して如何に想像力が欠如しているかを痛感しました。

政府のみならず国民に本当に国を守る気があるのか?現場の自衛隊に対する配慮が余りにも無さ過ぎると認めざるを得ないことがよく理解できました。

また、各国の特殊部隊に対する評価も実に興味深いものでした。

映画・ドラマでよくに耳にする米国海軍特殊部隊「Navy SEALs」に対しては思いの外辛辣でした。

個人のレベルよりも組織システム管理を重視するという米軍の特色を鋭く喝破しています。

 

一方、特殊部隊の老舗国(英国:SAS?)についてはレベルの高さに驚嘆の表現を隠していません。

そして現在、注目度急上昇のフィリピンにおける訓練・実戦(?)での話も凄いです。

フィリピンで日本国の在り様に大きな疑問を持つようになった経緯には日本人として同情しました…。

国防の最前線にいた著者は、まさに「国のために死ぬこと」の真の意味を冷徹に突きつめています。

 

現在、日本を取り巻く国際環境は激変の途上にあります。

日本の国防を考える上で一石を投じる1冊でした。

伊藤祐靖氏の最新刊が発売になっています。

自衛隊幻想 拉致問題から考える安全保障と憲法改正 単行本(ソフトカバー) – 2016/10/7
荒木和博 (著), 伊藤祐靖 (著), 荒谷卓 (著), 予備役ブルーリボンの会 (著)